INTERVIEWインタビュー

護あさな(芽衣子役)

■ 護さんは相当な漫画好きだそうですが、原作はご存知でしたか?

護あさな(以下、護):もちろん知っていましたが、ちゃんと読んだことはなかったんです。ビジュアルがすごく綺麗なのでものすごく読みたいけれど、内容が過激なのは知っていたので(笑)。いつかコミックスを買いたいと思っていた作品でした。

■ 芽衣子役はオーディションで決まったそうですね。

護:はい。作品も役も知らされないまま受けに行きました。でも、現場で手渡されたセリフが、芽衣子が男子生徒たちに靴をなめろと言うシーンだったんです。そこは読んだことがあったので、「もしかして……!」と気付いたんですけど、知らないふりをしたほうがいいのかな、と(笑)。役が決まった瞬間に、速攻で大人買いをしました。

■ 芽衣子が決まったときの心境は?

護:ドラマの撮影が始まる前に、先にアニメがオンエアされると知って、すごく怖くなりました。声優さんたちが錚々たる面々だったので、アニメと比べられるプレッシャーは相当ありました。漫画の実写化って、演じる側にとってすごく難しいと思うんです。原作ファンを裏切っちゃいけないし、だからといって挑戦を忘れてもいけないし……。この作品は熱心なファンがいる一方で、ヤンマガを毎週電車で読むことを楽しみにしているサラリーマンの方や、たまたま深夜のいい時間だからアニメを楽しく観ている方も多いと思うんですね。熱狂的なファンと一般的なユーザーのダブルコンボでドラマが評価されるのが、すごく怖かったです。

■ どうやってその怖さを乗り越えましたか?

護:撮影前は勝手に不安になっていたけれど、撮影が進むにつれてどんどんそれが解消されていきました。スタッフのみなさんが、原作をとにかく愛していて、現場でも逐一漫画に立ち返り、検証しながら撮っていたんです。こんなにも原作への愛が溢れている現場はないと思います。

■ 芽衣子の再現度の高さは、各方面から大絶賛されています。

護:ありがとうございます(照)! 監督と「芽衣子の再現度は絶対に高くしましょう」というところから入って、まずは髪を染めました。普通に考えると、金髪や茶髪はいても銀髪の高校生はいないですし、銀髪だとコスプレっぽくなってしまう。それは絶対に避けたいということで、いろいろ調べて、金髪と銀髪の中間色で攻めてみました。制服も、アニメは普通の生徒と同じ色ですけど、実写版では、芽衣子が表紙のコミックス第2巻のえんじ色にしたいという監督の意向でこうなりました。

■ 外見以外にも、芽衣子には多くのことが求められたのではないでしょうか。特に肉体面で。

護:第6話の腕相撲のシーンは気が遠くなりました(笑)。芽衣子は男子を腕力で圧倒しなきゃいけないから、みなさん演技で負けてくださるのに、ガリさん(ガリガリガリクソン)だけは本気で挑んでくるから、「なんで!?」と思いつつ、私も本気で倒しにいきました。ガリさんに連続でつばを吐くシーンでは、最初に口にお水を含むんですけど、うまく口の中に水を残せなくて、最後は自分の唾を出さなきゃいけないのがものすごく大変でした。

■ ガリガリガリクソンさんは、そのシーンの撮影が一番嬉しかったようです(笑)。

護:がんばった甲斐がありました(笑)。あと、芽衣子が筋トレするシーンや、ドアノブにパンツが引っかかって無理な体勢をキープしなきゃいけなかったり、倒立で腕立てしたりと、6話はけっこう盛りだくさんだと思います(笑)。もともと腕力が異常になくて、普段、腕立てが一回もできないんですが、多少支えがあるとはいえ、カメラが回るとなぜかできました。

■ 芽衣子の映り方に関して、スタッフさんと共同作業した感覚はありますか?

護:はい。衣装合わせの日、そのまま芽衣子だけ、監獄のロケーションでカメラテストをしました。どのアングルなら「股ナメ」(手前に股がある構図)で男子を撮れるのか、どうやったら胸がきれいに映るのかを一日かけて検証したあの日に、井口監督の本気を感じました。井口監督は普段はふんわりとした雰囲気で、テディベアみたいなのに、現場に入ると目つきが鋭くなるんです。「こんなことをやってみたい!」という意欲がすごくあって、それが伝わるから、私たちも信頼して付いて行きたくなるんです。

■ 芽衣子の内面はどう解釈していますか?

護:オーディションのとき、監督から「護さんはドMだからこそ芽衣子にいいと思う」と何度も言われました。芽衣子にはドSキャラという代名詞が定着していますが、根っこにはドM精神があると思うんです。私自身、人と目を合わせられないし、どちらかというとおどおどしているタイプなので、芽衣子とは根っこで近いものを感じます。だから、会長のために看守役を全力で努めているだけで、囚人を叩くことをまったく楽しんではいない芽衣子の気持ちはよくわかります。

■ 花ちゃんのほうがよっぽどSですよね。

護:そう思います。楽しく暴力を振るっていますよね(笑)。芽衣子が男子を鞭で叩くシーンで監督から、「テイクを重ねるにつれて、だんだん護さんが出てきて、叩き方が優しくなってくる」と言われました。役者としてはまだまだ未熟なんですが、「そこも芽衣子らしさが出ているね」と言ってもらえました。

■ 護さんは恥ずかしがり屋ということですが、露出度の高い衣装での身体を張った芝居には、どういう意識で取り組んでいるんですか?

護:形から入るタイプなので、撮影に備えて身体を作りました。それにあの衣装を着ると芽衣子スイッチが入るんですよね。

■ 芽衣子は鞭で叩いたり、男子をロングブーツのハイヒールでグリグリしたり……。

護:頭突きもありましたね。当てちゃいけないのに柄本時生さんにパンチを当ててしまって、鼻血が出るというハプニングもありました……。カメラは芽衣子を撮っていたので、気が動転しつつも、そのまま芝居を続けましたが、カットがかかった瞬間に謝りました。その後、柄本さんが何日間かいじって笑いにしてくださって救われました。

■ 現場はどんな雰囲気でしたか?

護:中川さんが17歳と若いので、休憩中はバスケや鬼ごっこをしたり、元気いっぱいでした。一緒に遊ぶときもあれば、「若いっていいな」と微笑ましく見守るときもあり(笑)。女子チームは、仲が良すぎてずーっとキャッキャしてました。芽衣子は男子チームとの現場が多かったので、女の子の癒やしが欲しくなるんです。だから女子と一緒の現場の日は嬉しくて嬉しくて! 撮影が終わってからも一緒にご飯に行ったり、鍋パしたり、かき氷屋めぐりをしたり、仲良くしています♥

■ お気に入りの女子キャラは?

護:やっぱり花ちゃんが好きですね。恋愛観が小学生みたいにピュアで、恥ずかしすぎてキヨシを殴っちゃうところとかすごく可愛い。千代ちゃんも、れなれなが現場に入ったとき「まじ千代ちゃん!」「天使か!」ってずーっと言ってました。会長役の紘菜は見た目はクールなんですけど、ユーモアがあって、話すとめちゃめちゃおもしろいんです。サバサバしているのに男子の心を掴んで放さない、男子バスケ部の超人気の女子マネージャーみたいな子です。もう、キュンキュンしっぱなしでした。

■ 芽衣子の会長への思いをどう分析していますか?

護:敬愛だと思います。10代特有の同性愛的な感情も含んでいるのかもしれないけれど、ずっといじめられていた自分をさっそうと助けてくれた会長への感謝や恩義があるから、「自分はこの人についていく」と思っている。葵ちゃんが「この3人では、花だけちょっと仲間はずれだよね」って言ってたように、たしかにちょっと特殊な関係だと思います。

■ では、最後に『監獄学園』ファンにメッセージをお願いします。

護:出演している私が言うのも変ですけど、原作に対してここまで愛のある作品はめったにないので、そこはぜひ信頼してほしいです。というか、とにかく天使たち(=女優陣)を見てほしい(笑)。杏子の登場はまさに折り返し地点という表現がふさわしいといいますか、ここからクライマックスに向けて加速していきますので、ぜひ楽しんでください。