INTERVIEWインタビュー

森川葵(花役)

■ 原作はご存知でしたか?

森川葵(以下、森川):友だちが読んでいたので『監獄学園』という漫画の存在は知っていました。今回、単行本を手にとって表紙を見て、最初の印象は「すごく絵が綺麗だな」って。私は漫画を絵で選ぶタイプなのですごく楽しみで、読んでみたら「ワオ!」という感じでした(笑)。ストレートにエロに向かっていく振り切り方がすごく好きです。

■ この漫画が人気の理由はどこだと思いましたか?

森川:出てくる女の子がみんな可愛いので、眺めているだけで楽しいと思います。男性も含めて、キャラクターがすごく魅力的ですよね。

■ そのなかでもかなり読者人気の高い花を演じることになった心境は?

森川:クランクインする前に「花ちゃんは人気のキャラクターだから」とプロデューサーさんから言われて困りました(苦笑)。私が演じる花も人気になれたらいいんですけど、そんなにうまくやれる自信もないので、頑張りますけど、どうなるかはわかりません……という感じでした。

■ 花を演じるにあたり、どんな準備をしましたか?

森川:何回も読みました。台本を片手で持って読んで、漫画と突きあわせながら動いてみたり。小説だったら自分の想像だけなので動きも表情も自由につくれるけれど、漫画の場合は描かれているコマをヒントにしつつ、コマとコマの間の表情や動きを想像するつくり方でした。

■ 花は空手の使い手です。かかと落としなどの練習はしましたか?

森川:練習はしましたが、事前にあまり時間がとれなかったので、そんなにたくさんはできませんでした。現場でアクション指導の方に教えてもらいながら撮影しました。あまり運動神経が良いわけではないので、大丈夫かなあ……と不安がありましたし、正直、うまくキメきれなかった部分はたくさんあります。ただ、蹴りがすごく楽しくて! お芝居云々ではなく、普通にキックボクシングをやってみたいなと思ってます。

■ なぜ蹴りが楽しかったのでしょうか?

森川:ストレス発散になりました(笑)。花はスカートの下にジャージを履いているので、どんな動きをしてもNGにならないんです。スカートだと「その座り方だとパンツが見えるから…」みたいな制約があるんですけど、それが一切ないので、思いっきり蹴ることができて楽しかったです。

■ 花を演じる上で大切にしたことは?

森川:ガクトなどに対してはただの乱暴な女の子ですが、キヨシに対しては自分の気持ちに素直になれなくて乱暴しちゃう、という複雑な部分がちょっとは演技で出るように頑張りました。

■ 花はキヨシといるとき、感情がグチャグチャですよね。

森川:はい。自分はキヨシを好きかもしれないと感じつつ、頭では「好きじゃない。ただ、仕返しをしてやっているだけなんだ」という気持ちで演ってました。

■ 執拗な仕返しをすることでしかキヨシとつながれない。

森川:そうなんです。自分の気持ちに素直になれない、恥ずかしがり屋で不器用な女の子なんです。

■ 花との共通点はありますか?

森川:基本的にゆるっとしているけれど、頭にくるとキレるところは一緒です。花みたいな言葉遣いにもならないし、暴力も振るいませんが、理不尽なことをされると「は?」「え?」という感じで静かにキレます。

■ 井口監督からは、どんな要望がありましたか?

森川:監督はいつも私達のそばに来てくれて、「ここはこういう風に動いて欲しい」というものをご自分でお芝居をして見せてくれるんです。すごくわかりやすいのですが、それが井口さんにしかできない動きなことがけっこう多くて、わかりやすいですけどできないです……ということがけっこうありました(笑)。

■ たとえばどんなシーンですか?

森川:キヨシとキスをするシーンで、小刻みに震えて感電したような動きをしてみせてくれたときは「どうしたらいいんだろう?」って思いつつ、感電したつもりでやってみたり(笑)。あと、キヨシと花のシーンでの、「キヨシはこうしてほしい」というお手本があまりにすごくて忘れられません。中川くんも頑張って井口さんのお手本に近づこうとしていましたが、井口さんの動きは井口さんにしかできないんです(笑)。

■ 花はセクシャルな方向で際どいシーンが多いキャラクターです。森川さんにとって初めての経験だったと思うのですが、どんな心境で挑みましたか?

森川:せっかくやれるんだから、自分がやれることはやろうとしか考えてなかったです。「こうしてほしい」といわれたことに全力で応えようと思っていました。

■ 現場のスタッフがピリついたりしませんでした?

森川:パンツを脱いだら毛布を持ってきてくれる、というような普通の気遣いはありましたけど、みんなそういう光景に慣れちゃって、あんまり興味ない感じでした(笑)。おかげですごく楽に取り組めました。

■ 全体的に、どんな雰囲気の現場でしたか?

森川:男性陣と女性陣、みんなで集まってずっとワイワイしていました。こういう作品なので、みんなどんどん恥じらいがなくなっていくんです。胸が見えても脱いでも平気、みたいな(笑)。男性陣は普通に下ネタ話をしていて、それを女性陣にふってきたり。普通の学園モノだったらすべてカットになるような話をずーっとしていました(笑)。すっごい楽しかったです。

■ では、原作ファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

森川:こういう仕事をしている自分が絶対に言っちゃいけないことなんですけど、自分が好きな漫画が実写化されるたびに、「せっかく完成している世界をなんでわざわざ実写の世界にもってきてしまうんだろう?」と思っていました。だから、『監獄学園』のファンの方たちの「なんのために実写化するの?」という気持ちがすごくわかります。それでも私たちはやるとなったら、なるべく原作に近づくようにしつつ、生身の人間が動くことで実写ならではのモノを表現しつつ、でもやっぱり漫画からはズレ過ぎず……というすっごく微妙なラインを探りながら頑張りました。だから、少しでも興味があったら、ちらっとでいいので観てみてください。

■ 実写化の意義は生身の人間だからできる表現を探ることでしょうか?

森川:そう思います。泣くシーンにしても、アニメや漫画は“絶対にココ”というところでキャラクターは涙を流します。実写の場合は、自分が演じるキャラクターがなぜ泣くのかを考える作業をします。そうやって感情を表現することで、実写にしかできないものになるのではないかと思っています。