山崎紘菜(万里役)
■ 出演が決定後、初めて原作を読んだそうですね。
山崎紘菜(以下、山崎):はい。ストーリーや世界観に衝撃を受けました(笑)。キャラクターがすごく魅力的なんですけど、かなり個性的というか、変わった人ばかりなので、実写化でリアリティを出すのは難しそうだなと思いました。でも、撮影してみると、演じる人たちの人間味みたいなものが自然に出てきて、実写の良さのある作品になったと思います。
■ 生徒会長の万里にどうアプローチしましたか?
山崎:万里は極度の男嫌いでカラス使いという特殊なキャラクターなので、共感できる部分を探したり、実際にいたらどういう人間なのかを想像したり、「男嫌いってどういうことなんだろう?」と考えたりしながら演じました。私は絶対に人に命令したり、上からものを言ったりできないタイプなので、すごく難しかったです。私と万里はたぶん真逆の性格なので、理解できない部分もたくさんあったんですけど、自分と違うからこそ興味を持つことができました。男嫌いの理由はまだ原作にも描かれていないと思うんですけど、原因は絶対に理事長だと思います(笑)。昔はお父さんが大好きだったという描写がマンガではあるので、一番身近な異性のお父さんと何かあったんだろうなって。
■ カラス使いになった理由は……?
山崎:小さい頃、万里がカラスを助けて以来、カラスが万里の言うことを聞くようになったのかな、とか(笑)。
■ 現場ではどう演じましたか?
山崎:学園の絶対的な権力者であり、カリスマ的な存在なので、威厳を意識しました。立ち方、歩き方、しゃべり方など、マンガにはない「動き」については監督に相談しながらこだわって作りました。監督はすごく優しくて、ものすごくわかりやすく演出してくださいました。万里はあまり感情が表に出ない人間なんですけど、たんに強くクールにセリフを言うのではなく、裏側にある寂しさや孤独感を表現したいという監督のアドバイスは、万里をつかむ上ですごく大きかったです。
■ 外見的な役作りはどのようにしたんですか?
山崎:かつらをつけました。6月から7月にかけての撮影だったので、湿気でけっこう広がってしまうんです。前髪とツムジのあたりの自毛との折り合いをつけるのが難しかったです。あと、クールな目にするために、眉尻を整えてキツく見えるように工夫しました。
■ 共通点は見いだせました?
山崎:万里は男子生徒には厳しいけれど、裏生徒会のメンバーや妹の千代ちゃんに対してはすごく愛情がある。自分のためじゃなく、みんなや学園を守るために、自分が正しいと思うことを貫いているキャラクターだと思うんです。そこが唯一の共通項ですね。
■ 撮影を振り返り、印象的なシーンは?
山崎:印象的なシーンの連続なんですが……(笑)。私がスカートを下ろされるシーンは、柄本さんが私に「ごめんね」って言いながら、どこをつまんでどう引っ張るときれいに落ちるのかを研究しながら、現場で何回も下ろす練習をしました。柄本さんは後ろに倒れながらスカートを下ろすので、倒れる角度も研究したり。共同作業をやり遂げた感があります(笑)。
■ 全体的に、どんな現場でしたか?
山崎:キャストのみなさんがすごく面白くて優しい方々ばっかりで、とても楽しい現場でした。副会長の芽衣子さんが会長を崇拝しているキャラクターなので、護さんは常に「会長、お茶をどうぞ」みたいに慕ってくださったんです(笑)。私は人見知りなので、会長と副会長の関係を作る上でとても助かりました。撮影が終わってしまうのがとても寂しかったですし、ぜひ続編をやりたいです!
■ 好きなセリフはありますか?
山崎:「男はクズ」という口癖は、万里のすべてを象徴しているので好きです。最初はなかなかしっくりこなかったんですけど、最後の方ではだいぶ「クズ」という言葉を言い慣れたというか、自分のものにできた感じはあります(笑)。
■ 万里の考え方に引っ張られて、男嫌いになるということはありませんか?
山崎:男嫌いまではいかないですけど、男の人はみんな下心を持ってるのかも……と、ちょっと警戒するようになりました(笑)。万里を演じる前の私は、男性を異性としてあまり意識していなかったことに気付かされました。万里は男と女を区別しながら毎日を生きていることに気付けたことは、万里を演じる上でとても役立ちました。
■ いよいよ最終回を迎える『プリズン』ファンにメッセージをお願いします。
山崎:万里を演じることになったとき、原作ファンの方からどんな反応があるかすごく不安でしたが、「山崎紘菜じゃなきゃ万里はできなかった」と思っていただけるようにかなりこだわって取り組みました。私、ラストシーンがすごく好きなんです。撮影しながらすごく感情が入ったし、やりがいのあるシーンの連続だったので、最終回が一番好きな回になる予感がします。ずっと対立していた裏生徒会と男子生徒に決着がつくんですけど、「え!? そこで終わるの!?」という衝撃のラストになると思うので、ぜひたくさんの方に観てほしいです。